チーズ四節

 

それは、一年を四節という四つの季節で、チーズとともに感じるという事。

世界では四季のある国は多くありますが、私たち日本人ほど四季を感じながら生活している民族はいないのではないでしょうか?

チーズはお腹だけではなく、気持ちも満たしてくれる食べ物のひとつ。

ご家庭でもチーズ料理を楽しんでいただけるように、GoldenCheese総料理長 原が監修したレシピも一緒にご紹介します。


 

【冬のチーズ】

冬のチーズといっても仕込みは春から秋にかけて行うチーズ。

青草を食べながら育った牛や山羊、羊たちの乳で造ったチーズが多く、

青草を食べているせいか、旨味が感じられるチーズが多いのも特徴です。

 

私たちの飲食店で人気の冬のチーズを3種類、ご紹介していきます。

 

タレッジョ

 

タイプ ウォッシュ
原産国・地域 北イタリア ロンバルディア州タレッジョ
見た目の特徴 淡い赤褐色の表皮に、自然の青カビが少しある。
味の特徴 マイルドで甘い独特な味わい。ほのかな酸味もある。熟成が進むとコクが増す。
熟成期間 最低35日間

 

イタリアのウォッシュタイプチーズで最も有名なチーズ。

10世紀頃、名前の由来となったタレッジョ渓谷で生まれたチーズです。

当初は、夏の間アルプスに放牧されていた牛たちが厳冬を避けて人里に戻る途中に、あまったミルクを保存するために作られていました。

放牧からの長旅で牛や牛飼いが疲れ果てていたので、「ストラッキーノ(疲れた)」と呼ばれていました。

ウォッシュチーズ特有の香りは控えめで、上品な香りと酸味が楽しめます。

実はこのチーズ、僕が20年前に初めてイタリアンレストランで食べたチーズなんです。

その印象は「なんて臭いチーズなんだ!」でした(笑)

おそらく熟成が進みすぎていたんでしょうね。

 

若いタレッジョは独特の臭みもなく、炙って食べるとよりコクが増して非常に美味です。

僕らの飲食店でも、チーズ盛り合わせのウオッシュタイプの定番チーズでご提供しております。

そんなタレッジョは小麦や米などの穀物類と相性が良いので

おうちでイタリアンサンドのパニーノにして召し上がるのはいかがでしょうか?

        材料

タレッジョ 適量

バゲット 適量

野菜(トマト、ベビーリーフなどお好みで) 適量

ベーコンスライス 適量

 

作り方

バゲットを縦又は水平に切れ込みを入れ、スライスベーコン、タレッジョ、お好みの野菜を挟む。

そのままでも十分おいしく召し上がれますが、電子レンジで10秒弱温めるとチーズが柔らかくなり、

よりおいしく召し上がれます。

 

 

 

ボーフォール

タイプ ハード
原産国・地域 フランス サヴォワ
見た目の特徴 黄褐色でごつごつとした外観。中身は淡い黄色のきめ細かな組織。
味の特徴 しっとりした食感。ハチミツのようなやさしい甘みと木の実のようなコクがある。
熟成期間 最低5ヶ月間

 

フランスが誇る山のチーズの一つです。さわやかな芳香があり、味わいは濃厚です。

かのフランスの美食家ブリア・サヴァラン(18~19世紀)が「チーズのプリンス」と絶賛したといわれています。

6月~10月の間に造られたものには「Ete(エテ)」と表記することが可能です。

同じ期間に標高1500m以上の高地で、単一牛の群れから1日に2回搾乳し、山のチーズ小屋(シャレ Chalet)で伝統的な製法で造られたものは

「Chalet d’Alpage(シャレ・ダルパージュ)」と表記できます。

直径35~75cm、厚み11~16cm、重さ20~70kgの円盤型、表面は黄褐色で固くしまっており、側面にくぼみがあるのが特徴です。

中身は象牙色か淡い黄色で脂気のある柔らかな組織で、レニュール(lainures)と呼ばれる水平に細い亀裂やウズラの目(yeux de perdrix)と呼ばれる小さな気孔がみられます。

1968年にAOP(EU統一の原産地呼称保護)に認定されました。

※AOPは、2009年よりAOC(原産地統制名称制度)から移行しています。

AOPとは、「Appellation d’Origine Protégée(アペラシオン・ドリジーヌ・プロテジェ)」の略で、

原産地名称保護と訳され、「EU」が定めた品質認証システムです。

 

Golden Cheeseでは、フランス産チーズフォンデュにボーフォールをブレンドしております♪

 

このチーズは、18年程前の冬に、僕が札幌に住んでいたころ、

すすきのにあった“フロマージュ”というチーズ専門店の澤田君からすすめられ食べたチーズ。

濃厚で赤ワインにとてもマッチしたのを今でも憶えています。まさに冬のチーズの記憶です。

澤田君元気かなぁ・・・。(笑)

 

コンテ

タイプ ハード
原料乳 牛乳の部分脱脂したもの(無殺菌乳)
原産国・地域 フランス東部 フランシュ・コンテ
見た目の特徴 表皮は、若いうちは黄色。熟成が進むと色が濃くなり茶色になる。
味の特徴 風味もコクも濃厚だが、決してしつこくない。熟成するほどにほっくりした甘みが増し、官能的な味わいに。
熟成期間 最低120日間

 

フランスのチーズを代表とするハードタイプチーズのひとつ。

雪深く大変厳しい冬を乗り越えるために長期保存を目的として作られ始めた、

直径55~75cm、高さ8~13cm、1個のチーズをつくるのに500ℓの牛乳が必要な、重量32~45kgの大型チーズです。

フランスではAOC(原産地呼称統制法)認定チーズの中で最も生産量が多く、広く親しまれているチーズです。

1958年にAOP(EU統一の原産地呼称保護)を取得しています。

 

写真からもわかるように、表皮から数ミリは水分がほとんどなくカッチカチ!

その分中身はミルクの旨味がギュッと詰ったチーズです。

このコンテ、多くのチーズ製造で共通する工程中で、コンテ製造の場合には禁止されている工程があるんです。

それは加熱殺菌後に冷却保存をしない、という独特の製造法なんです。

文献をいろいろ調べても出てこないのですが、今度知り合いのフランス人にその理由を聞いてみようと思います(笑)

そんな風味豊かなコンテを、自然な塩気のあるパンチェッタと

一緒にケークサレに入れてみました。

ワインにもよく合うケークサレ。ご家庭でもいかがですか?

        材料

コンテ10か月熟成70g

グリーンオリーブ70g

パンチェッタ(ベーコンで代用も可)70g

【A】

薄力粉110g、ベーキングパウダー5g

玉子2個

白ワイン75㏄(牛乳に代用するとマイルドにも作れます。)

オリーブオイル50cc

塩、黒コショウ適量(お好みで)

 

作り方

【下準備】

コンテはあらかじめすりおろしておく
オリーブはつぶしてパンチェッタは1㎝角くらいにカット

Aはふるって混ぜて型には薄く油を塗ってクッキングシートを引いておく

 

【手順】

1.玉子をボールに溶きほぐし白ワイン、オリーブオイル、塩、ブラックペッパーを混ぜ

A以外の具剤を入れふるっておいたAをゴムベラなどで素早く粉っぽさがなくなるまで

混ぜ合わせ型に流し込む。

2.180℃に予熱したオーブンで40~45分くらい焼く。熱いうちに型から外し完成です。

 

 

コンテは、フランスではとても人気のチーズで、Golden Cheeseのフランス産チーズフォンデュにブレンドしております。

 

それではまた。 Au revoir!

料理監修:原 勇人